西之島(にしのしま)は、小笠原諸島の島(無人島)。1973年に付近の海底火山が噴火し、新島(西之島新島)が誕生、後に西之島と接合し、一体化した陸地となった。そのため、現在の「西之島」の呼称は、西之島新島とあわせた陸地全体を指す。行政区画は、東京都小笠原村。
地理[編集]
東京の南約1,000km、父島の西約130kmにある。火山列島(硫黄列島)と同一火山脈に属し、付近は海底火山活動が活発である。西之島火山体は海底から計測すると比高4,000mにもなる大火山であるが、海面に出ているのはその最上部にすぎない。
1973年から1974年にかけての噴火により新島ができるまでの西之島(旧島)は、面積0.07km²、東西650m、南北200mの細長い島だった。現在は、噴火とその後の侵食と堆積によって新島と一体化。1970年代は、新島と旧島に挟まれた「コ」の字型の湾をもつ島だったが、堆積作用によって、1982年には湾口が閉じて完全に一体化。円形の島になった。なお、1999年時点での新島部分の面積は、0.25km²。
現在は新島と旧島は完全に一体化している。島の周囲は波の浸食を受けて断崖となっており、上陸は難しい。
自然[編集]
西之島は海洋島であり、噴火後まだ時間が経過していないため、植物相は貧弱でスベリヒユ、オヒシバ、イヌビエ、グンバイヒルガオ、ハマゴウ及びツルナの6種しか確認されていない[1]。これらの多くは、種子の海流散布を行う植物である。アカオネッタイチョウやアオツラカツオドリ、オオアジサシ、オーストンウミツバメ、カツオドリ、オナガミズナギドリ、セグロアジサシなどの12種類の鳥類の生息、そのうち9種類の繁殖が確認されている[1]。その他にはアリやクモ、カニの生息が確認されている[1]。このため、2008年8月1日に国指定西之島鳥獣保護区(集団繁殖地)に指定されている(面積29ha、全域が特別保護地区)。
歴史[編集]
西之島に井戸水はない上に農耕にも適さないため、遭難船の漂着者を除いて、人が居住していた記録はない。ただし、西之島に産出しない半深成岩でできた、石の面に見える長さ23cmの石が、東海大学の調査隊によって採取されている[2]。
約1000万年前 - 火山活動により島が誕生。
1702年 - スペインの帆船ロザリオ号が発見し、「ロザリオ島」と命名。
1801年 -