前回の最後に公開した全天球動画の録画開始ボタンを押す直前に撮影したのが、この写真だ。海抜60m付近の階段通路上から大千代港の全景を俯瞰した。
この直後に私は、全天球カメラを聖火の如く右手に掲げながら、直下に見える二段の平場(港の基部)のすぐ上まで文字通り駆け下った。
あとから要した時間(=動画の再生時間)を確認すると、約66秒だった。
また、上記を含む、海抜70m付近の“引き返し地点”から基部に下降するまでに要した総時間は、約5分だった。
普段、ここまで時間を意識しながら探索することはないが、ストレスを感じるどころか、逆に私の人生では未体験の“敏腕ビジネスマン”にでもなったような心境で、爽快だった。これが、エリート・オブローダーだ!(笑)
それから私は探索済の基部内を速やかに移動し、写真内の★印(基部の下段南端付近)へ向った。
そこを起点に、矢印に示したルートで、 最後の未探索領域である基部と岸壁の連絡道路へ入っていく。
9:34 《現在地》
上の写真の★地点から、岸壁への通路入口を見ている。
険峻な青ヶ島にあってはここも非常に低い土地といえるが、それでもまだ海抜15mほどあり、ほぼ0mに位置する岸壁まで、この正面に見える傾斜路を下って行く。
なお、航空写真および現地を確認した限り、岸壁へ至る通路はこれしかないようで、選択の余地は存在しない。
それにしても……
車道 なのである!
ここからは! (←力説)
ここに来て、高低差にして百数十メートルぶりとなる車道との再会であった。
それも、上にあったような軽トラサイズの小さな車道ではない。
大型ダンプさえ悠々と通過できそうな、地方港湾に相応しい規模の車道である!!
面白すぎる!
以前の回にも書いたが、地続きの陸地に存在する他の車道や集落と完全に離れている、 離れ小島・飛び地的な車道 は、 神津島の砂糠山 の例を含めて、もはや島という“小世界”ならではのものであるかもしれない。
本土(内地)にはもう、こういう場所が残っていない可能性がある。
こういう状況を示す“陸の孤島”という表現も、実際は比喩的なものになって久しく、その比喩でさえも最近はあまり用いられていない気がする。
右の写真は、この場においては車道の象徴のようにも見える、ガードロープの支柱だ。
本来ならば見慣れた道路構造物だが、限界を超