【周辺図(マピオン)】
静岡県の中西部、掛川市や菊川市などがある大井川と天竜川の両下流部に挟まれた丘陵地は、県内の隧道多産エリアとなっている。例えば関東の房総半島や三浦半島、或いは九州の国東半島など、全国区の名だたる“隧道王国”には及ばないものの、中部エリアでは最大の多産地と言えるだろう。当サイトでも、変わり種の こんな隧道 を以前紹介しているが、もちろん氷山の一画であった。
なぜこの辺に隧道が沢山あるかという問いは重要だが、今回は肩肘張らないミニレポである。とりあえず物を見て頂きたい。
紹介するのは、菊川市にある 牛渕隧道 である。
市役所がある街の中心地から1〜2kmの近場にあり、現在の地図には“如何にも旧トンネル”といった感じで慎ましげに描かれている。
ここはとても気軽に訪れる事が出来る、夕暮れ前の時間埋めにも最適な探索対象だった。
2015/3/9 16:26 《現在地》
さて、雨の日の少しだけ憂鬱な夕方にやって参りました、牛渕隧道が地図に描かれている峠。
峠と言っても相当に気軽なもので、広く切り開かれた切り通しと麓の高低差は20m程度かな。
この道の路線名は知らないが、普通に生活道路として利用されているから、菊川市道なのだと思う。
…お分かりいただけました?
もう、お目当ての物は、見えていますですよ。 にぱー。
う〜〜ん、 お手軽だ!
でも、なかなか年季の入った佇まいが、ここからでも見て取れるぜ。
こいつは、ただの時間潰しや数稼ぎという気持ちで当たるには、勿体ない逸品だろう。
胸に熱いものを感じた私は、濡れた体の不快さも忘れて、案外に深そうな闇へ歩み寄った。
おうふ!
こいつは、ますます侮れねーゾ。
見所は年季の入った坑門だけではなく、
古隧道の箔付けに一役買う重要定番アイテムが、
勢揃いじゃないか!
それ即ち、
お地蔵 と、
記念碑 だ。
こいつは捗る!
しばしばこのように隧道前で見かける地蔵と記念碑は、共に思いを託された石という共通点を持ちつつも、異なる目的で存在している。
前者は、往来の安全を願うという他者に対する「優しさ」によるもので、道路や隧道と同じように敢えて功績を誇らない、無記名の精神によるものだろう。
後者は、隧道という利便を今日に与えてくれた先人に対する「感謝」と、それを子々孫々に伝えてゆきたいという「