2015/4/23 9:59
出発から5時間近くも要したが、今私は約6kmの鹿曲川林道閉鎖区間を走破し、八ヶ岳連峰蓼科山北側の標高1750mという高所に辿り着いた。
長く続いた渓谷の眺めから一転して眼前に展開したのは、空を間近に感じる高原と、その一角に聳え立つ幾つものマンション的な高層建築物だった。
今回の探索において私の「見たい!」の筆頭にあった「仙境都市」の下の端に、遂に辿り着いたのだ。
右図は最新の地理院地図だが、この「都市」に所属するとみられる無数の建物が、かなり広い範囲に描かれている。
その中で最も標高の高いものは、 標高2000mの計曲線 (太い等高線)より上にまで及んでいる。
これは実に驚くべきことで、参考までにわが国の47都道府県のうち、標高2000mよりも高い地点を有しているのは16都道県しかない。
もちろん、「都市」を名乗ってはいても、これが一般的な意味での都市とは違うだろうということは私も勘付いていた。
これは、いわゆる別荘地というものに違いない。
そこにこれを経営している企業が付けた名が、仙境都市というのである。
住所としての地名は、佐久市大字春日字富貴の平というそうである。
だがそれを差し引いても、人がある程度まとまって定住している土地としての標高の高さや、都市を名乗っている事実という二点については、やはり特筆ものだと私は思う。
それでは本編の終盤戦、私が生まれてはじめて踏み込んだ仙境都市の実態を見て貰うことにしよう。
うん、大丈夫。 さすがに酸素は薄くないな。
…そんなことを冗談で考えたが、帰宅後に念のため 調べてみる と、実際はだいぶ薄かった(苦笑)。おそらくは地上の80%くらいしかなかったのである。2割も少なければ体に全く影響が無いことは無いだろう。
オブローダーは登山家ほど高所には慣れていないので、この後で私が妙に疲れやすく頻繁に休息していたのは、そのせいだったのかも知れないし、単純に疲れる行程だっただけかもしれない。
鹿曲川林道の通行封鎖バリケードを越えたことで、ここは普通に解放されている区間であるはずだが、今のところ人や車に出会う事は起きていない。
林道もまだ終わってはおらず、約1.5km先の蓼科スカイライン合流地点まで続いている。
傍らには現代的な電信柱が現れ始め、「都市」に居るということを感じさせた