1975年宮城県生まれ。元SEでフリーライターというインドア経歴だが、人前でしゃべる場面で緊張しない生態を持つ。主な賞罰はケータイ大喜利レジェンド。路線図が好き。
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路線図で「コミュニケーションデザイン」を学ぶ
というわけで千葉大学にやってきた。正確には千葉大学工学部。最寄りはJR西千葉駅である。
門の前で待っていたら歩道をテレビクルーが通り過ぎていった。『月曜からよふかし』の総武線ロケだろうか。
「コミュニケーションデザインⅣ」講義を担当する大森正樹さん。大学教授ではなく、鉄道会社JR西日本の方である。なぜ鉄道会社JRの人が大学で?というのは後ほど。
ひとくちに「デザイン」と言ってもいろいろある。
図形とか模様とかに限らず、建築も衣服もWebも工業製品もみんなデザインだ。「私もサザエさん、あなたもサザエさん」みたいなものである。
で、この講義で学ぶのは「コミュニケーションデザイン」。ははぁコミュニケーションのデザインですね……と、うっかり知ったかぶりしてしまうが、ちゃんと聞いてみよう。なんですかコミュニケーションデザインって。
「そうですね……たとえば、1985年に阪神タイガースがリーグ優勝しましたよね」
大森さんは熱狂的な阪神タイガースファンである。野球をよく知らないちびっ子たちもここは黙ってうなずいておこう。
「道頓堀にカーネル・サンダースの人形が投げ込まれたりして、それはもう大騒ぎでした。それから7年後、阪神は1992年に再び優勝争いに加わります。すると、大阪中の看板や人形たちが足かせをはめられ、地面や店舗にしっかり固定されたんです」
「うちのもんまで道頓堀に投げ込まれてはかなわん」ってことですね。
「でも、あの有名な『食いだおれ人形』は固定せず、代わりに吹き出しをつけて一言しゃべらせたんです。なんて言わせたと思います?」
なんでしょう。「やめてください」的な……?
「『わて泳げまへんねん』って言わせたんです。泳げへんならしゃあないわ、と投げ込まれず済んだんですね。一方的にダメですと言うのではなく、相手に心からの納得感があるかたちで伝える、それが理想的なコミュニケーションデザインです。相手の立場に立ってわかりやすく伝えることにより、デザインで問題を解決できる。