今回もまずはいつものように色々な時間に、色々な場所で、色々な紙に描いた沢山のイメージスケッチを元に、模型を制作する所からスタートです。
絵よりも模型にして、立体的にクライアントさまに見て頂いた方がずっとイメージの伝達が早くて正確だと私は思っているので、大抵の場合は最初に模型を作ってしまいます。
この時点で予定している完成時の全てのものの質感や色にもこだわって制作しますが、この時正しい縮尺で模型を作ると後で図面に起こす時に楽になるので、縮尺率はともかく電卓をかたわらに置いて正しい縮尺で模型を作るようにしています。
ですが、ノリとか勢いを大切にしたい時にはノンスケールでのびのびと作ってしまう事もあります、当然あとで大変な目に遭いますが。
写真にありますように細部にまで手を入れた模型を作るのは、クライアントさまに竣工時の状態を出来るだけ正確に、そして実際にその場にいてそれを眺めているような生々しい感覚を持って、完成時の様々なシーンをイメージして頂くためです。
また細部まで作り込む事によって、その後の施工手順や必要な予算などもある程度見えてくるというメリットもあります。
それに何より模型にしてお見せする良いところは、良くあるイメージパースのように青空に雲が穏やかに浮かんでいて、緑の木々がざわめいているなんていう嘘を模型はつけませんので、星野組の誠実さの証としても可能な限りクライアントさまには模型でお見せするようにさせて頂いております。
模型の材料を探しに画材屋や模型店に行ったり、色々な資料本などを集めに行ったりするのも模型作りの際の楽しみの一つで、へたをしたら私にとってこの時が、全工程を通じて最も楽しいひと時かもしれないと思えるほどです。
今回、今は幻となってしまった伝説の九龍城を再現、再構築するにあたりこれだけは外せないと考えたものは、やはりあの街を埋め尽くすかのような看板と、少しでも壁面に隙間があれば貼ってある様々なバリエーションがある無数のチラシでした。
ですが東京でそんな物が手に入るわけがなく、当然全て一から制作する事になります。
それから鳥籠や椅子、テレビや扇風機などの家電に湯飲み茶碗やブルースリーのポスターなどなど、生活感を出す為の小道具の数々を仕入れる為に古道具屋通いをしたのはもちろんですが、百円ショップや雑貨屋などにも暇を見つけては何度も足を運