課題研究 数学の助言 助言あわせて今後の期待を話させていただきます。 まず、本田君、高橋君の研究ですが、これは初等幾何学の部類に 属するものと思います。初等幾何学は研究され尽くした感がありますが、 たまに今でも新しい定理が見出されているようです。確か12,3年前ですが、 東北地方の高校生が円と三角形の定理で新しいものを見つけ出し、 数学界に驚きを与えました。最近では関孝和や伊能タダナカの研究などから 初等幾何学を見直す動きもあります。富山県には有名な石黒伸由もいますし。 ぜひ、今後2人には、三角形および円にいろいろと線を引き新しい定理が 出ないか、試してほしいと思います。明治維新で活躍した若者に影響を 与えた信州の人、佐久間象山は「詳証術は万学の元である。」という言葉も 残しています。ぜひ頑張ってください。 次に小森さんですが、集合の濃度から無限というものにも大きさがあるんだ ということを知ったと思います。また、高校の教科書の積分をリーマン積分と いうのですが、その弱点を克服したルベーグ積分というものの入り口も 知ることができたと思います。我々はルベーグ積分のような奇抜な発想は なかなかできないと思いますが、人の熱意というか、情熱というものがいかに すごいものであるかをぜひ知ってください。 谷道さんはパラドックスに挑戦し、自分のやっていることが数学では ないのではと悩んだと思いますが、実は数学基礎論として今でも研究されて いることですし、あの有名なゲーゲルの不完全性理論に結びつくものです。 自信を持って数学研究しただと胸を張ってください。さて、谷道さん、 いろいろな本を読み理解できたところに、パラドックスは言葉の取り方という 部分が非常にあったと思います。やはり我々は言葉を通して物を考え、 練るわけですから、言葉が占める重要性にきずかされたと思います。 逆に言うと言語活動が低い人は考える次元も幼稚といっても過言では ありません。言葉の重要性というものを今一度認識してください。 坂野君ですが、コンピュータシミュレーションはいまどの分野でも 使われている非常に重要なものです。例えば、都市計画に利用したり、 緊急時の際の人の流れに利用したり、我々の生活にはなくてはならないものに なっています。しかし大事なことは、コンピュータはあくまで道具であって、 物事を最終的に判断するのはわれわれ人間です。これはとても重要なことです。 頭に入れて置いてください。 車君ですが循環小数についての研究でした。与えられた課題を自力で解いた のですが、実はその問題は数学者高木貞治などが整数論の考えを使い非常に スムーズに解いています。自分の方法で解いたというのは評価できます。 しかし、もっともっといろんな本を読んで、いろいろな考え方に触れ、 数学の世界を広げていってください。ちなみに富山大学の東川先生に 聞いたのですが循環小数の世界はまだ確立されたものがないそうです。 将来是非"車の理論"というものを作るべく頑張ってください。 最後に、みなさんに。バナッハ空間で有名な数学者バナッハは数学のことを "子供には切れすぎるおもちゃだ" と述べています。頭の発達にはよいものだ という意味でしょうか。数学を通して、考える力をつけ、社会に貢献できる 人材となるように頑張ってください。